心房細動ってどんな病気なの?

胸の苦しみ、ふらつき、頻脈を伴う動悸、全身倦怠感などの症状があります。

心房細動は高齢者でよくみられる不整脈の一つです。心房細動とは心房が不規則に高頻度で拍動する不整脈であり、心房全体が小刻みに震えて心房における正しい収縮と弛緩ができなくなった状態です。心房細動は心房内で血栓が形成されやすい病態です。心房細動になると脳梗塞のリスクが約5倍になります(Wolf PA, et al. Stroke 1991;22:983-988)。脳梗塞のリスクは心房細動病型(発作性、持続性、永続性) にかかわらず同等です(Hohnloser SH, et al: J Am Coll Cardiol 50: 2156-2161, 2007)。心房細動は脳梗塞(心原性脳塞栓症)の原因のひとつといわれ、心房細動患者さんが脳梗塞を起こすと重症化し、1年後の死亡率は50%と予後の悪い疾患です(Kubo M, et al.: Neurology 66: 1539-1544, 2006)。

心房細動の分類

  • 初発心房細動:初めて心電図上心房細動が確認されたもの。心房細動の持続時間を問わない。
  • 発作性心房細動:発症後7日以内に同調律に復したもの。
  • 持続性心房細動:発症後7日以上心房細動が持続しているもの。
  • 永続性心房細動:電気的あるいは薬理学的に除細動不能のもの。

発作性および持続性心房細動における脳梗塞の発症率

脳梗塞の発症率に心房細動の病型の違いはありません。持続性心房細動、発作性心房細動における脳梗塞の発症率の比較では、脳梗塞の発症率は心房細動の病型によらないことが確認されました。(ACTIVE-W試験)

発作性および持続性心房細動患者における脳卒中・全身性塞栓症の発症率 持続性心房細動は観察期間を重ねるごとに累積ハザード比が緩やかに上昇するのに対し、発作性心房細動は観察期間の半年を境に階段上に上昇 ACTIVE W Study-Sub analysis 対象:脳卒中リスクを1つ以上有する心房細動患者6,706例。方法:1.3年(中央値)間の追跡期間において、持続性心房細動患者と発作性心房細動患者の脳卒中・全身性塞栓症の発症率を検討。Hohnloser SH, et al: J Am Coll Cardiol 50: 2156-2161, 2007