JSA 公益社団法人 日本脳卒中協会 The Japan Stroke Association Boehringer Ingelheim

Q1.心房細動患者様における脳梗塞予防の重要性について

A


済生会熊本病院脳卒中センター
特別顧問
熊本大学医学部医学科 臨床教授
橋本 洋一郎 先生

脳卒中は、介護が必要となる原因疾患の第2位(要介護度5:寝たきりの原因疾患の第1位)であり、決して看過できる疾患でありません。1)脳卒中は脳血管の障害で起こる病気の総称で、脳梗塞、脳出血とくも膜下出血に大きく分けることができます。頭の血管に血栓が詰まって起こるのが脳梗塞、頭の中の血管が破れて起こるのが脳出血、脳動脈瘤などが破れて起こるのがくも膜下出血と呼ばれています。

脳梗塞のうち、心臓でできた血栓が頭の血管で詰まることでおこる脳梗塞を心原性脳塞栓症と言い、心原性脳塞栓症は、比較的太い血管が突然詰まり、その先の組織や細胞に血液が届かずダメージをうける範囲が大きくなるため、重症度が高く予後が悪いことが知られています。心原性脳塞栓症の原因の多くは心臓の病気で不整脈の一つである心房細動であることから、心房細動患者さんにおける心原性脳塞栓症の発症予防はとても重要です。

1)令和3年版高齢社会白書

2023年2月作成