JSA 公益社団法人 日本脳卒中協会 The Japan Stroke Association Boehringer Ingelheim

Q2.脳梗塞予防の抗凝固薬服用の重要性について

A


済生会熊本病院脳卒中センター
特別顧問
熊本大学医学部医学科 臨床教授
橋本 洋一郎 先生

心房細動によって、心房が痙攣したようになり、血液をうまく心臓から全身に送れなくなり、血液が淀み固まりやすくなっている状態になります。この心房細動が原因で起こる脳梗塞を予防するためには血液をサラサラにして、心臓に血のかたまりである血栓ができるのを防ぐ経口抗凝固薬を使います。

この抗凝固薬の難点は、服用しても効果を実感できる機会が少ないことや、時々鼻血や歯ぐきから血がでるなど副作用がおきることもあり、飲み続ける動機が維持しづらいことが挙げられます。しかし、心房細動の患者さんが抗凝固療法を受けると、64%の脳梗塞を予防できると報告されており2)、脳梗塞を発症しないためには、継続して抗凝固薬による治療をすることが重要です。また、服薬を中止してしまうと脳梗塞を起こしてしまうこともあるため、服用する薬のメリットとデメリットを理解したうえで、医師の指示通りに薬を服用し、勝手に中止しないようにしましょう。

2)Hart RG, et al: Ann Intern Med 2007; 146: 857-867

2023年2月作成