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心房細動患者さんは血栓ができやすいのはなぜ?

心房細動は心房内で血栓(血のかたまり)が形成されやすい病態です。血栓形成メカニズム(Virchow’s triad)(下図)によると、血栓形成には血流の異常、血液成分の変化、血管壁の異常が単独で、または組み合わさって関与することが知られています。心房細動患者さんにはそのいずれも認められ、管理・治療上、留意すべきと考えられます。心房細動では心房収縮が失われ、とくに左心耳内で血流が停滞し、血栓が形成されやすくなります。対策としては抗凝固療法を厳格に行う必要があります。心房細動患者さんが何らかの原因で脱水となったり、あるいは心不全に対して利尿薬が投与され、脱水をきたすと血液が濃縮され、凝固しやすくなります。
対策としては、脱水をきたさないように注意します。心房細動患者さんでは心内膜の傷害が認められることが報告されています(心内膜リモデリング)。その結果、心内膜の抗血栓機能が低下し、血栓が形成されやすくなります。

図1 血栓形成メカニズム